完全に目が冴えている。
10時間半も眠り続けたら、夜はこうなることが目に見えている、
とはよく言ったもの。
ほんとは1時過ぎにはそろそろ眠ろうかモードに入りかけて
いたのだが電話が鳴る。しかも非通知の着信だ。
なんだか久々にお目にかかるその3文字が、
何かしらの気分の高揚をうながしたのかとっさにでてしまった。


聞き慣れない男性の声とその近くにいるだろう人の話し声。
「もしもし?
・・・・
あの・・
誰ですか?」


俺の常識の範囲で、
それが非通知で電話をよこす人間の、
開口一番で出てくるセリフとは到底考えることができなかった。


普通に「そちらが誰?」
と聞き返したが、思ったよりこちらの口調でおおらかに伝わらなかったようで、
向こうの人がひるんでしまったのか、
どもって何を言っているのかが判別しにくくなる。


・・・・・


このあと電話越しのひと悶着、というか小競り合いが約40秒続くが、
程なく声の主が判明。この前のフィッシュマンズナイトの日、いっしょに飲み明かした人だった。
ニルヴァーナが好きだと言っていた。
おれ、ニルヴァーナナイトだったら三日三晩でも踊り続けるわ、
とかの人だ。
今日も呑んでいる、
とのことで、どもっていたように感じたのはそのせいだったみたいだ。